「っ失礼する!」 少女の激情とは対に、潜った扉は静かに閉じた。 一人の少女と一人の少年が出ていき、静まりかえった部屋で、彼はわずかに笑みを浮かべながら コーヒーを口に含んだ。 鼻をくすぐるほのかな香りが心地よい。 「楽しそうですわね、議長」 「・・・・タリア」 彼女もまた、コーヒーを片手に「ご一緒してよろしいですか?」と問い掛けてきた。 承諾に手を向かいのソファにやると、礼を述べながらゆっくりと腰掛け、先ほど少年 少女らの出て行った扉の方に視線をやった。 そして先ほどのことに対してか、少し苦笑したように口を開く。 「以前アスハ代表が、MSのことを議長が御説明なさるとき、楽しそうだ、っとおっ しゃっていましたが・・・・・・」 そこでいったん言葉を切り、カップに口をつけ穏やかに微笑んで彼女は続けた。 「わたくしはアスハ代表といらっしゃるときが楽しそうに見えますわ」 そんな彼女の言葉に軽く目を開いた。 思わず苦笑が漏れる。 「そうみえるかい?」 「えぇ、とても」 少し困ったように笑い、ソファに深く腰を沈めて口を開いた。 「私には子供がいないのでね」 先ほど怒りに任せて出て行った少女と少年を思い浮かべて。 「反抗期の娘を持ったらこんな感じだろうかと思ってね」 こうして言葉にすると、胸にしっくりときた。 あの少女はまだ怒りを静めていないだろうか。 今頃は付き添いの少年が必死に宥めているかもしれない。 次ぎあうときはどんな顔をして出てくるのだろう。 「いくら虚勢をはっても、彼女はまだ子供なのだよ」 立場がソレを許さなくとも。 彼は視線を落とし、どこか影を落としたような少し物悲しい笑みを浮かべ遠くを見るように して口を開いた。 「子供たちが子供の姿でいられる世界を、はやく創りたいものだな」