はじめて母さんを紹介したとき、カガリはどう接してよいのか分からず戸惑ってるみた いだった。 何かいろいろと考えてしまっていたのか、複雑な顔をしていたのを覚えている。 けれど二人の中を取り持つような余裕は、僕にはまだなくて。 寧ろ、ウジウジと考え込んで母さんと向き合えなかったのをカガリに一喝されてしま ったほどだ。 『なに目を逸らしてるんだ』 『わたしたちの出生がどうだろうとお前のお母様はあの人だろ!』 『そしてわたしのお父様はウズミ・ナラ・アスハだ』 『そう言ったのはお前だ。そうだろうキラ』 カガリは甘やかしてくれない。 常に真直ぐこっちを見据えて、そして目をそらすことを許してくれなかった。 苦しかった。 けれど、嬉しかった。 昔のころのようまでとは言えないけれど、母さんと自然に話せるようになったころには カガリと母さんも随分と親しくなっていた。 時間ができてカガリがこっちに来れたときはよくラクスたちも一緒に母さんと料理を作 っていたし、密かに裁縫なども習っているようだった。 けれどどこか、ほんの少しだけ、カガリが一歩母さんから距離を置いているように見え た。 「おばさまは優しいな」 「あはは、カガリが可愛くて仕方ないんだよ、娘同然だから」 「そうかな」 そう言いながら、どこか寂しそうに笑うカガリに違和感を感じる。 母さんといるとき、カガリは時々こんな風に笑うのだ。 何故だろう、カガリがこんな風に笑うのはどんなどんなときだっけ? 一人ぼんやりと黙想していると、ガチャリとドアが開いた。 「キラ!まったく、カガリちゃんも。こんな時間まで起きてないで早く寝なさい」あぁ、そうだ。 「はーい」「はい」 「よろしい、じゃあお休みなさい」 それだけ言うと母さんは部屋を出て行った。 僕もカガリに「おやすみ」と告げて部屋をあとにする。 そして、まだ灯りの消えない母さんの部屋に向かった。 カーテンの隙間から差し込むまぶしい光に目を覚ます。 廊下に出ると少し髪の乱れたカガリに出会う。 「おはよう、カガリ」 「あぁ、おはようキラ」 二人してノロノロと階段を下りる。 下ではもう朝食の準備ができており、母さんがフォークを並べていた。 そしてこちらに気づき、笑顔で僕等を迎えた。 「おはよう、よく眠れた?キラ、カガリ」 「あ、はい、おはようござ・・・・・・・」 目を見開いてピタリと動かなくなってしまったカガリに、僕は必死に笑いを噛み殺した。 しばらくすると少し頬を染め、オロオロと助けを求めるようにこっちを見つめてくる。 目の端に涙を浮かべながらも、にっこりと微笑みを返すと彼女は顔を赤くしながら小さ な声で母さんに「おはよう」と返した。 母さんも嬉しそうに笑って、もう一度「おはよう」と言った。