「王様、また姫様が部屋を抜け出されました!」 ドタドタと侍女であるマーナが慌しく駆けてきた。 ウズミは毎度のことに軽く溜息をついてそれを諌めた。 「落ち着きなさいマーナ、心配ない、きっとキラ君やアスラン君も一緒だ」 その言葉に少し落ち着きを取り戻すものの、マーナは心配そうに口を開いた。 「しかし、姫様は昨夜で十五歳になられました」 そう、あれからもう十五年の時がたち、ついに姫はあの黒い魔法使いのかけた呪いの年 をむかえたのだ。 父親としてウズミも不安を感じてはいたが、目の前の侍女を安心させるように微笑ん で口を開いた。 「大丈夫だマーナ、あのじゃじゃ馬娘が糸車を使うなどとしとやかなことはしまいよ」 今もおそらく少年達と山の中を駆け回っているであろう娘を思って言葉を紡いだ。 しかしその言葉を受けてマーナは先ほどとまた違った意味の困ったような顔をしながら 溜息をついて口を開いた。 「それはそれで困りものでございます。もう少し娘らしくなって頂かなくては」 その言葉にウズミは苦笑するしかなかった。

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