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妻はあの日の夜から体調を崩し、床に伏せてしまった。 『ねぇ、あなた。国じゅうの糸車を全て捨ててしまいましょう?』 折りつくように言った彼女。 それは我が子を守りたい彼女の切実な願いだったのだろう。 しかしそんなことはできるわけが無い。 いくら愛するこのためといえども、一人の人間のためにそんな大事を行っては ならないのだから。 ちゃんと彼女は理解していたのだろうに・・・。 彼女の体調はそのまま悪化しつづけ、その翌年この世を去った。 皮肉なのかどうなのか、母を知らず、私の姿ばかりを見て育ったカガリは少々 普通の娘とは掛け離れ、女性のたしなみであり仕事である糸紡ぎなどまったく といって良いほど興味を持たなかった。 またあの日のことがあり、周りのものも決してカガリを糸車に近づけようとは しなかった。 娘は元気に何事も無く美しく成長し、ついに15を迎えた。 今年さえ、今年さえ乗り切れば・・・・。 ウズミは重い顔を上げ、空を見つめた。 |