妻はあの日の夜から体調を崩し、床に伏せてしまった。



『ねぇ、あなた。国じゅうの糸車を全て捨ててしまいましょう?』



折りつくように言った彼女。
それは我が子を守りたい彼女の切実な願いだったのだろう。
しかしそんなことはできるわけが無い。
いくら愛するこのためといえども、一人の人間のためにそんな大事を行っては
ならないのだから。



ちゃんと彼女は理解していたのだろうに・・・。







彼女の体調はそのまま悪化しつづけ、その翌年この世を去った。

















皮肉なのかどうなのか、母を知らず、私の姿ばかりを見て育ったカガリは少々
普通の娘とは掛け離れ、女性のたしなみであり仕事である糸紡ぎなどまったく
といって良いほど興味を持たなかった。

またあの日のことがあり、周りのものも決してカガリを糸車に近づけようとは
しなかった。














           そして14年のときが経ち・・・・






娘は元気に何事も無く美しく成長し、ついに15を迎えた。
今年さえ、今年さえ乗り切れば・・・・。
ウズミは重い顔を上げ、空を見つめた。