「ようこそおいでくださった、遠いところからご足労願い申し訳ない」



「いいえ、こちらこそ出向くのが遅くなり申し訳ありません」







物静かな部屋で、たっぷりとしたピンクの髪を揺らす少女はウズミに向かって上品に
礼をした。
そしてゆっくりと顔を上げ、真直ぐにウズミと目を合わせる。








「今回は娘さまに掛けられた魔法をとくためにわたくしを御呼びとのこととお聞きました」









静に少女は微笑む。
目の前の少女にウズミは真剣な面持ちで口を開いた。
その目からは切実な願いが見て取れる。










「ラクス・クライン殿、貴殿は以前に、死をもたらす魔法を打ち消したと耳にした」



「はい」








静に肯定を返す少女にウズミは深く頭を下げた。
もし家臣の者がこの場にいたのならば慌ててウズミを止めただろう。
一国の王が、一人の少女に頭を下げたのだ、誰もが目を疑うに違いない。








「ラクス殿、どうか娘を救ってやって欲しい」








頼み込むウズミの姿は一国の王のそれではなく、ただ一人の娘を思う優しき父の
姿であった。
ラクスはその姿に穏やかな微笑を返し、口を開く。









「お引き受けいたします、全力を尽くさせていただきますわ」