そうして、太陽のお姫様と月の王子様は結ばれました』





その言葉を締めくくりに、絵本は閉じられる。

物語を聞き終えれば、少女は純粋無垢な瞳をこちらへ向けて口を開いた。










『ねぇかあさま、このおはなしはめでたしめでたしでおわらないのね』





























太陽の姫君





























そこは不思議な場所だった。



寒くもなく暑くもなく、冷たくもなく温かくもない。
ただどこまでも静かで、どこまでもゆるやか。
まわりは白い靄に覆われ見渡す限りなにもなく。
自分の体がそこに在るのか分からなくなりそうな、そんな場所。


そんな場所に、少女はただ一人佇んでいた。









・・・とうさま?かあさま??

いつ自分はこんなところに来たのだろう・・・・・?











当てもなく歩いてみるが景色は変わらず、本当に自分が前に進んでるのかさえ分からな
くなってきた。
しばらくして少女は歩くのをやめ、その場に座り込んだ。







どれ位の間そうしていたのか。
数分だったかもしれないし数時間だったようにも思える。
ただ誰もいない空間には不安しかなくて。

目にはもう涙がにじんできていた。









「とうさまぁ、かあさまぁ・・・・」
























「エレンっ」





















         声がした。

自分の名を呼ぶ優しい声。
どこか温かく、懐かしいような不思議な感覚が少女を包む。
その元をたどるように首を彷徨わせれば、誰もいなかったはずの空間に鮮やかな金髪の
女性が立っていた。

惹かれるように少女は彼女の元へ足を向けた。



「だぁれ?」



そう問いかければ
なにか愛しいものを見つけたかのように、女性も少女のもとへ歩み寄り、そっと頭を撫でた。
少女は不思議そうに目を瞬かせたあと、太陽のような温かい笑顔をめいいっぱいに広げ、
その女性の零れ落ちる金の髪に手を伸ばし言った。

























「きれいな金色、エレンとおなじね」



































































































「ねぇかあさま、このおはなしは『めでたしめでたし』でおわらないのね」







 そういうと、かあさまは泣きそうにわらった。























































































「エレンっ、よかった、よかったエレン!!」




真っ白な病室。
この色はもはや自分にはトラウマとなりつつある。





泣きそうになった。
否、泣いていただろう。
目を覚ました小さな少女の体を、加減もせずめいいっぱい抱きしめた。








「とうさま、くるしい・・・・」







その言葉にやっとのこと腕の力を緩める。


生きている。
この子は生きているのだ。
この温もりは失われていない。

そう思うだけで溢れ出す涙はとめられなかった。




「?とうさま、ないてるの??」




覗き込んでくる少女を包み込んだまま、何も応えずただ涙を流し続けた。







「とうさまはなきむしさん」




そう言いながらくすくすと少女は笑い、目の前に広がる柔らかな茶色に手を伸ば
した。

触れられた手は、酷く温かい。






「よしよし」





一生懸命手を伸ばし頭を撫でてくる。

それはいつも姉貴風を吹かせていた片割れを思い起こさせ、涙は止まるどころかよりいっそう
溢れ出し頬を塗らした。
彼女に目を合わせてそっと微笑み、震える口を抑えて言葉をつむぐ。





「僕はもういいから、母様のところへ言ってあげて?母様もずいぶんと君の事を心配し
 ていたんだから。」




これ以上この娘に「よしよし」をされていると声を張り上げて泣いてしまいそうだった。
耐えるようにしながらそっとエレンを開放して頭を撫でる。
が、いやいやと首を振ってエレンは彼の足にしがみついてきた。










「だめ!とおさま、まだ泣いてるもん。泣いてるこはほっといちゃいけないんだっておねちゃん
 が言ってた」










その言葉に目を見開く。

懐かしすぎるその言葉。
それはいったいだれの言葉?
遠い昔、あの片割れがよく言ってはいなかった?


そのひとは               ・・・・・












「あのね、エレンさっきまでふしぎなところにいたの」





少女は嬉々と目を輝かせて喋りだした。
それはまるで、楽しい夢を語るかのように。






「あのね?なぁんにもないところなの、そこでねエレンがさみしくて泣いてたらね金色の
 髪したきれいなおねえちゃんが立ってたの」






少女に触れようとした手がぶるぶると震えた。












            あぁ、君はエレンをつれて逝こうとしたの?










体が痺れるような感覚に襲われながら、少女の無邪気な声に耳を傾ける。









「いっぱいお話してね、楽しかったの!
 でも『エレンはまだきちゃダメだから、もう帰りなさい』って言われてねっ」




















「生きる方が戦いだと、彼女に叱られたよ・・・・・・。」


























「それでねっ、気がついたらここにいて、とおさまが泣いてたの!」
















馬鹿だな・・・・。


彼女がそんなことを思うはずがないのに。


誰よりも人の死を嫌う人だから。

















              やっぱり君はどこまでも君のままで。













「ねぇ、とおさま、とおさまはおねえちゃんとお知り合い?」









指をあごに当てながら首を傾げて訊ねてくる少女は、いつまでも穢れを知らず純粋だった
彼女の面影をよく映している。











「・・・・どうして?」





「あのね、おねえちゃんから『でんごん』をあずかってきたの!」










はじめてのお使いを頼まれたように、エレンが意気揚々としゃべるのが酷く微笑ましい。
けれど上手くは笑えず、それでもまだ、幼いエレンにはいつも通りの笑顔に見えただろう。
優しく続きを促す。













「わたしはこうかいしてないからって。それを『アイツ』にも伝えてほしいって」











「・・・・っ・・」













「ねぇとおさま、『アイツ』ってだぁれ?」





















喉がヒリヒリと痛んだ。
少し収まったかと思った水分は、再び瞳を濡らしていて。
涙で歪んだ視界の中で、目の前に映る鮮やかな金髪と宝石のように瞬くエメラルドだけが
その存在を主張していた。









・・・・いつか、この娘がそう遠くない未来、その輝かんばかりの金髪と、どこまでも

透き通るような翡翠の瞳に疑問を持ったとき、『彼』の元に訪れよう。














そして、つらく切ない・・・・・・それでも大切な、話をしよう。

































「ねぇ、とおさま。エレンまたおねえちゃんに会いたいな」






























             ねぇ、やっぱり君が逝くのは早すぎたよ。



























「かあさまとね、んっと、・・・・・おんなじくらい温かくて大好きなの!」
































                 
カガリ・・・・・














































「エレン・・・このお話はこれで終わりではないのです。



            ・・・貴方が大きくなったら、お話しましょうね」





























end...
                                         もう最後の最後ら辺はいっぱいいっぱいです(汗)                                               いつか落ち着いて書き直そう・・・・。                            キラが義父となってますがアスランは生きています。ちょっと問題ありな感じで。                          そしてエレンは他にも伝言を頼まれていたりしたんですが・・・(書ききれなかった)                                        ・・・・・それにしても、まとまりのない文章だなぁ。                                                                                2005.02.22                                                で、ちょっぴり書き直してみました。                                         あ、あんまり変わってない(汗)まぁ、元が、ねぇ?                                                             2005.03.23