みんなが泣いていたんだ。
わたしも、お前も、ラクスもキラも・・・・みんな子供のようにわんわんと泣いていた。
けれど世界は応えてくれなくて、冷たくて。
わたしたちは泣き叫ぶことしかできなかったんだ。
夢境
「ヵ・・・リ・・・・・・ガリ・・・・カガリ」
耳に馴染んだ声が何度もわたしを呼ぶ。
その声に重いまぶたを持ち上げれば、困ったような翡翠の瞳が目に入った。
「アス・・・・ラン?」
「仮眠をとるときは俺に言ってからキチンとベッドで寝るように言っただろう?」
あぁ、寝てしまったのか。
「いや、すまない。仮眠を取るつもりはなかったんだ」
苦笑しながらそう返せば、
彼は眉間にくっきりとしわを刻みこんだ。
「それはそれで駄目だろう、ちゃんと休め」
アスランは呆れているような怒っているような器用な顔をして小言を言ってくる。
それを軽く聞き流しながら首をコキコキと鳴らす。
腕を枕にして寝ていたのだろう、両腕がじんじんと痺れてきた。
ペンを握るも、ピリッとした痛みに神経が削がれ、痺れが治まるまでは仕事に集中できそうにないと自覚する。
時計に目をやればとうに三時をまわっていた。
その時間を確認したあと、眉を寄せてこちらを見つめてる彼を横目でちらりと盗み見る。
これ以上こいつのストレスを増やすのも気が引けるし。
「そうだな、少し休もう」
手元においてあったアラームを二時間後にセットしてベッドの方へ持っていく。
彼の眉間のしわが少し濃くなったのが目の端に捉えたがあえて無視した。
そしてずいぶんと久しぶりとなっていたベッドに身を沈める。
毎日ベッドメイクを欠かしていないのだろう、肌を包み込む感覚がしっとりと心地よい。
一度横になれば一気に押し寄せる抵抗しがたいほどの睡魔の波。
うとうととし始めた中で彼が近づいてくる気配を感じる。
そして近くまで来ると少し屈んでそっと髪を撫でてきた。
大きくてしっかりとした手に酷く安心してその優しい手つきに甘えるように身をゆだねる。
そして耳元に降りてくる彼の声。
「さっき・・・・泣いてた?」
「?」
突然何を言うのだろうと思い彼を見上げれば、彼は何かをなぞるように頬を撫でてきた。
触れられた部分を自分の手で確かめるようになぞる。
そしてきりよく自分の頬に残る涙の跡に気づいた。
あぁ。
「・・・・・・・・さっきな、変な夢を見たんだ」
「変な夢?」
静に問い返しながら彼はゆっくりとベッドの端に腰を落ち着けた。
頭を撫でる手はそのままに、続きを促す。
少し彼の手がくすぐったくて目を細めながら、軽く口の端を持ち上げて語りだした。
「変な変装したお前とプラントに行くんだ」
「変なって・・・」
「そこで新型MSが地球連邦軍に奪取されし」
「それはまた・・・・・」
「おまえは護衛の癖にMS乗って戦うし」
「・・癖に・・・」
「私は首長になって何年か経ってるのに罵声を浴びせられるのが初めてで落ち込むし」
「・・・うん」
「キラなんか妙に悟りすぎてるし」
「まぁ、そこそこ前兆は無きにしも非ずだな」
「やたらノリの良いラクスのそっくりさんとか出てくるし」
「彼女に双子はいないはずだが・・・」
「プラントの代表は腹黒いのかそうでないのかいまいちわかんないし」
「へぇ」
「みんなが・・・・・世界が憎しみの声を上げながらまた武器を取るんだ」
殺してしまえ、滅ぼしてしまえ ・・・と。
そう呟いた彼女の声は震えていた。
「大丈夫、それは夢だよ。そうならないために、俺たちは頑張っているんだろう?」
穏やかに、安心させるようにアスランは微笑んでいた。
そしていつの間にか自分の手は彼に握られている。
とても、力強く。
その手の温もりになんだか力が抜けていって。
夢の内容を語っているうちに目が冴えてきていたのだが、再び睡魔が襲ってきた。
意識が朦朧としてきた中、安心させようと微笑んでくれている彼に空いている方の
手をそっと伸ばした。
「でもな・・・・その夢の中で・・良いこともあったんだ・・・」
睡魔の波に揺られながら、カガリは言葉を紡ぐ。
それは何?と瞳で問いかければ
半ば意識も途切れ途切れとなっているの中、カガリはアスランに向けて微笑んだ。
そして夢の中に吸い込まれていくようにして告げられた言葉に、アスランはわずかに
顔を赤らめながら寝息を立てるカガリの顔にかかった髪をはらった。
・・・・・・お前がわたしに指輪をくれた。
...end
外しちゃいましたけどね。(苦笑)
まぁ、これ45話見る前に書いたものなんでその辺は・・・。
久しぶりにSSを書いたのでかなり落ち込みそうな勢いの文章ですが、とりあえず
このサイト方針を表した作品です。
もし本編でどうなろうと、DESTNYはそれもまたひとつの世界として、別物
としてこのサイトは進めていきます。
2005.08.28
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