「聞いて、学校で話題になったんだけどねウズミ様の・・・・」



「ふぅん」



「でね、その         ・・・」




「へぇ」





「むぅ、興味ないの?お兄ちゃんと二つしか違わないんだよ?そんな人がさぁ・・・」













『お兄ちゃんと二つしか・・・』












そのフレーズにゲームをしていた手が止まる。

マユの話をぼんやりと聞き流しながらどこか懐かしい記憶を引っ張り出した。

そういえば昔、マユとはまったく違うことを言ってる奴がいた気がする。
胸を張りながらはっきりと二つ「も」違うのだと。

思い出せば自然と笑いがこぼれる。


顔はもうあんまり覚えていないが「変なやつ」だった。








「ねぇ!お兄ちゃんってば」


「は?」


「〜〜〜〜〜っもう怒ったぁ〜!っえい!!」



「あっちょっとまてよ!分かった!聞くから!!まだセーブしてな・・・          前方不注意!


































「おーい、マユ〜!?」




眩い太陽の下、せわしなく動く人ごみの中で少年は叫んでいた。






「ったく、どこいったんだよ」





もともと南国にある島国であるオーブ。
春といえるこの季節はもう充分に暑く、少年は軽くため息を吐いてうっすらと滲んだ汗を
拭いた。








「あれだけ一人でうろちょろするなって言ったのに」





と言っても10歳にも満たない相手に言い利かせるには無理がある。
そんなことは気にもせずブツブツと文句をこぼしながら少年は足を進めた。

いい加減あたりを見回すのも雑になってきたころ。













ドンッ












「って!」

「った!」






前方不注意もいいところ。
思いっきり走っていたらしい人物にぶつかった。






「何処見て歩いてるんだよっ!!」

「なっ、そっちこそ何処見てんだよ」






お互い尻餅をつきながら睨み合う。
相手は自分と幾つも年の変わらない少年だった。
ぶつかった拍子に落とした帽子を拾い上げながら立ち上がる。
そして帽子をはたきながら彼は口を開いた。






「わたしはちゃんと前を見てたさ。
だからお前を避けようとしたのにフラフラとこっちにきたんだろ?」






その言葉にぐっと口を噤む。
周りを見ていなかったことはまったく否定できない。

確かに向こうの方が正論を言っているが、その上からものを言う喋りかたのせいで謝ることに
抵抗を覚えた。
何も言わずにただ睨んでいると、いきなり彼が少年の手をつかんでぐいぐいとひっぱりだす。

突然のことに少年はそのままずるずると連れて行かれてしまった。


























「はなせよっ!」




















何故だか公園の噴水前に連れて行かれたころ、ようやく少年は彼の手を振り解いた。








今日はなんて日だろう。

友達と遊ぶ約束してたのに、急に母さんたちに留守番頼まれるし。
ちょっとアイスを買いにコンビニに出かけただけなのに気がつけばマユとはぐれるし。
こんな変なやつにぶつかるし。




もうなんだかいろいろと疲れてしまった。












「お前、怪我してる」












そういいながら彼は少年の手をとった。
おそらく先ほどぶつかった時のものだろう。
言われて見てみれば確かに肘のあたりが擦り剥けてうっすらと血が滲んでいた。
気づかされてみるとなかなかズキズキと痛い。

目の前の少年は仕方ないなといったふうに水のみ場に駆けていった。



彼はすぐに引き返してくる。










「ったく、しかたないやつだなぁ」





そう言いながら濡らしたハンカチで傷口をぬぐう。
けれど物言いとは裏腹にその手つきはやさしかった。

なんとなく流れについていけなくて少年はぼんやりとその様子を眺める。








「前も見ないで、いったい何してたんだ?」






少々あきれた風に聞いてくる彼を、少年は見つめた。
その顔に怒りの色はもうないようで、自分もまた不思議と苛立ちはおさまっていた。








「妹を、探してたんだ。はぐれたから・・・・でも見つからなくて」









ポツリと零す。

そして唐突に不安に襲われた。





そうだ、マユを探さなければ。
まだマユは小さいのに。
母さんにしっかりねって頼まれたのに。
もしかしたら一人でないてるかもしれない。







情けなくって涙がにじんできた。










すると何かに腕をぐいっと引っ張られる感覚。

気がつけば自分は彼の腕の中にいた。
そしてポンっポンっと背中を叩かれる。















「よしよし、大丈夫だ」













酷く優しい声。
同じ男だというのにどこかやわらかく温かかった。
突然のことに驚きながらも伝わってくる心地よさに目を閉じようとしたとき――――――。





















ベシッ





「って!」




















頭に手をやりながら顔をあげればそこには先ほどまで手当てをしていた彼。
さも今お前の頭を叩きましたよといったポーズをとっている。









「アンタ、何す「それならぼさぼさしないで探しにいくぞ!!」












彼のコロコロ変わる態度に口をポカンとあけてしまう。

呆れると共になんだか酷く嬉しかった。


















「たく、お前お兄さんだろ、もっとしっかりしろよ」


「なっ!なんだよ!!えらそうに。あんま歳違わないだろ!?」


「お前いくつだ?」


「12」


「わたしは14だ。わたしのほうがお姉さんだろ」


「はぁ!?2つしか違わねぇだろっ」


「二つも、だ!」

















ここまで言い切ってはたと気づく。
そして目の前の人物を凝視する。


今彼は己のことを「お姉さん」と言わなかったか?


突然ぴたりと固まった少年に彼・・・否、彼女は疑わしげな視線を向けた。










「あんた・・・おん、な?」


















少女の見事なほどのパンチが少年に決まった。

















そして今、妹を探す自分の隣には不貞腐れた顔の少女。
どうやら一緒に探してくれるらしい。
悪かったと謝ろうと思い、ありがとうと感謝も述べたいとも思ったが、ひりひりと赤く腫れた頬のせいで
やはりどちらも口に出来なかった。

変わりに出てきたのはふと思いついた疑問。





















「そういえば、アンタこそ何してたんだよ」



「へ?」



















その疑問に彼女はぱちくりと目を瞬かせた。






















「だから、何の用事もなかったのか?」


















もし何か用があったのなら付き合ってもらうわけにはいかない。
出合ったときもなんだか急いでいたような気がする。
少しさびしい気がするが、あとは一人で何とかしよう。





















「あぁ、・・・・別に何もないぞ?
 ただ屋敷から急いで飛び出てきたってだけで―――――」





「は?屋敷?」




「いや、なんでもない!とにかく別にこれといって用事はないさ」





















慌てふためく様子に少し違和感を覚えながらも、とりあえず「ふーん」と相槌を打っておいた。
そして「暇なんだな」と返すと少しむくれたように「そんなことないさ」と彼女は唇を尖らせる。















「でも何か見たいものでもあったんだろ?外にいたんだから」













そう問いかければ彼女はしばく考え込んで口を開いた。














「しいて言うなら・・・・そうだな・・・お前毎日楽しいか?」



「は?」



「いいからっ、ここで楽しく過ごせてるか?」



「・・・まぁ、それなりに」




















唐突な質問で面食らう。
だが勢いよくずいっと近づいてくる顔に後ずさりながらも素直に答えた。


















「そうかっ!」


















彼女はその答えに満足そうに、太陽のような笑顔で答えるものだから、

質問の答えになってないと再び口を開くことが出来なかった。




































それから数時間後、妹は近所の八百屋に滞在していたことが分かり、彼女は「よかったな」と一言つげて
去っていった。






そういえば自分は彼女の名前を聞いていない。





そのことに少年が気づいたのは帰り道、妹が兄と共に迎えに来た少女のことを尋ねてからのこと。
































            それはまだ優しい風に包まれていた少年時代
































...end

                                                    えぇっと、・・・すいません。                                       無駄に長いしなんだか上手く文章がまとまっていません(汗)                               なんだかリハビリ小説になってしまった感がひしひしと・・・申し訳ないです。                         リクエストは『和解もしくはもしも話』ということで『もしも話』にさせていただきました。                                          えっと、一応シンカガでなくシン+カガのつもりです。                                           うぅ、下手したらアスカガよりも甘いかもしれない。                              天野もこの二人の組み合わせは大好きです、似たもの同士・・・ですよね?(笑)                                                 リクエストありがとうございました!!                                                             2006.04.08